2025年問題で介護人材不足が深刻化する原因とは?需給ギャップと対策を解説

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2025年問題で介護人材不足が深刻化している最大の原因は、団塊の世代約800万人が後期高齢者となり介護需要が急増する一方で、少子化による生産年齢人口の減少で介護職員の供給が追いつかないという需給ギャップの拡大にあります。2026年度には約25万人、2040年度には約57万人もの介護職員が不足すると推計されており、賃金水準や労働環境の問題も人材確保を困難にしています。この記事では、2025年問題の全体像から介護人材不足の具体的な原因、そして政府の対策まで詳しく解説します。

目次

2025年問題とは何か|団塊の世代が後期高齢者になる転換点

2025年問題とは、1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」と呼ばれる約800万人全員が75歳以上の後期高齢者となることで引き起こされる社会問題の総称です。この世代は戦後のベビーブームに生まれた人口ボリュームが極めて大きい世代であり、後期高齢者になることで日本社会全体に多大な影響が及ぶことが予測されています。

厚生労働省の試算によれば、団塊の世代が75歳以上になることで、これまで約1,500万人だった後期高齢者人口が約2,200万人に膨れ上がるとされています。これは国民の4人に1人が75歳以上という超高齢社会への突入を意味します。2025年には高齢者全体で見ると日本の人口の約30パーセント、つまり3人に1人が高齢者という状況になります。

75歳を境に要介護認定率が急上昇する理由

2025年が介護分野において決定的な分岐点となる理由は、75歳を境に要介護認定率が急激に上昇するためです。前期高齢者(65歳から74歳)の要介護認定率が約4パーセントであるのに対し、後期高齢者では約30パーセントに跳ね上がります。つまり後期高齢者の約3人に1人が何らかの介護を必要とする状態になるということです。

人口ボリュームの大きい団塊の世代が、医療や介護へのニーズが急速に高まる後期高齢者になるという点で、多くの学識者が「少子高齢化による社会への負荷が大きく高まる」と警鐘を鳴らしてきました。

介護人材不足の現状|2026年度に約25万人が不足

2024年7月に厚生労働省が公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度には約240万人の介護職員が必要と推計されています。2022年度の職員数と比較すると約25万人が不足すると予測されており、この不足を補うには2026年度までに毎年6.3万人の増加が必要となる計算です。

しかし令和以降の介護職員の増員ペースは年間1万人前後にとどまっており、目標ペースには遠く及んでいない現状があります。公益財団法人介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査結果の概要について」によると、従業員の過不足感について「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所は64.7パーセントに上ります。

訪問介護の人材不足が特に深刻な状況

特に深刻なのは訪問介護員で、人手不足感を示す回答が80パーセントを超えています。2023年度の訪問介護職の有効求人倍率は14.14倍に達しており、これは求職者1人に対して14.14人分の求人があることを意味します。2022年時点では15.53倍と過去最高を記録しました。

さらに深刻なことに、2040年度には約57万人もの介護人材が不足するという推計もあります。もはや「人」だけでは介護が必要な高齢者を支えることはできない状況が現実味を帯びてきているのです。

介護人材不足が深刻化する5つの原因

介護人材不足が深刻化している背景には、複合的な要因が存在します。ここでは主な5つの原因について詳しく解説します。

原因1|生産年齢人口の減少による労働力不足

少子高齢化が進む日本では、15歳から64歳までの生産年齢人口が年々減少しています。介護分野に限らずあらゆる産業で人手不足が顕在化しており、限られた労働力の奪い合いが激化しています。

特に若年層の人口減少は著しく、介護業界への新規参入者の確保が困難になっています。他産業との人材獲得競争において、介護業界は必ずしも有利な立場にはありません。

原因2|団塊の世代の後期高齢者化による介護需要の急増

団塊の世代が後期高齢者となることで、介護サービスへの需要は急増します。75歳以上になると要介護認定率が急上昇するため、介護を必要とする高齢者の絶対数が大幅に増加します。

供給(介護人材)が増えない一方で需要(介護を必要とする高齢者)は急増するという、需給ギャップの拡大が人材不足を深刻化させている最大の要因です。

原因3|他産業と比較した賃金水準の問題

介護職の賃金は長年にわたり他産業と比較して低い水準にあるとされてきました。2024年の介護職の平均月給は24万1,296円にまで上昇し、前年度より3,739円(1.6パーセント)増加したものの、他産業で賃上げが進展する中、相対的な魅力度では依然として課題があります。

特に若年層にとって、将来の生活設計を考えた際に介護職の賃金水準では生活が成り立たないと判断されるケースも少なくありません。

原因4|身体的・精神的負担が大きい労働環境

介護職は身体的・精神的負担が大きい職種です。利用者の移乗介助や入浴介助などの身体介護は腰痛のリスクを伴い、夜勤を含む不規則な勤務体制は生活リズムを乱す要因となります。

また認知症の利用者への対応や看取りケアなど、精神的なストレスも大きいです。これらの労働環境の厳しさが介護職を敬遠する一因となっています。

原因5|社会的評価や認知度の不足

介護職に対する社会的な評価や認知度が十分でないことも、人材確保を困難にしている要因の一つです。「誰でもできる仕事」「きつい・汚い・危険の3K職場」といったネガティブなイメージが、若年層の就職先選択に影響を与えています。

実際には介護職は専門的な知識と技術を要する専門職であり、高齢者の生活を支える社会的に重要な仕事であるにもかかわらず、その価値が正当に評価されていない面があります。

社会保障費と介護費用の増大がもたらす影響

後期高齢者の医療費と介護費用は他の世代と比較して著しく高く、加齢に伴う疾病リスクの増加や慢性疾患の管理、介護サービスの利用などが主な要因です。2025年の社会保障給付費は約140兆円に達するとされており、この増加分は現役世代の保険料負担に反映され、報酬の3割を超える水準に達する見込みとなっています。

厚生労働省の推計では、2025年度の医療給付費は45.0兆円の見込みで、2010年度と比較すると約13兆円の増加が予定されています。介護保険の保険給付についても2019年には10兆円を超え、2023年には13.5兆円が予算として組まれています。要介護者が増えるほど介護サービスの利用者数も増加するため、介護財源への圧迫は今後さらに深刻化することが確実です。

現役世代への負担増と悪循環

社会保障費の増大はそのまま現役世代の負担増につながります。財源を確保するために現役世代の社会保険料負担がさらに増加することは避けられない状況となっています。

この負担増は若い世代の可処分所得を減少させ、消費の低迷や少子化のさらなる加速といった悪循環を生む可能性があります。また企業にとっても社会保険料の事業主負担の増加は経営を圧迫する要因となります。

介護職員の離職状況と改善の兆し

2024年の介護職離職率は13.1パーセントとなり、介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によれば、データを確認できた2007年度以降で最低を更新しました。前年度より1.3ポイント低下しています。

厚生労働省の「雇用動向調査」が示す全産業の離職率15パーセント(2022年)と比較しても1.9ポイント下回る結果となりました。これは介護業界における定着促進の取り組みが一定の成果を上げていることを示しています。

離職率低下の主な要因

離職率の低下要因として最も多く挙げられているのは「職場の人間関係がよくなったため」で、63.6パーセントの事業所がこの点を挙げています。介護労働安定センターは「定着促進には職場の人間関係が大きな鍵を握っている」と分析しています。

その他の要因としては、評価制度の改定による公平な評価、有給休暇取得の促進や仕事と育児・介護の両立支援などの雇用管理改善、専門職としてのやりがいを高められる研修体制の整備などが挙げられています。

依然として多い離職理由

依然として介護職の離職理由で多いのは職場の人間関係の問題です。職員同士の関係が良好でなかったり、チーム内に無理な要望を通そうとする職員がいたりすると離職につながりやすい傾向があります。

その他の離職理由としては、不規則な勤務体制への不満、給与・待遇への不満、身体的な負担の大きさ、将来のキャリアパスが見えないことへの不安などが挙げられています。

介護難民問題|必要なサービスを受けられない高齢者の増加

人材不足や介護サービスの供給制約により、必要な介護サービスを受けられない高齢者は「介護難民」と呼ばれます。2025年問題によりこの介護難民が大幅に増加する可能性が指摘されています。

特に都市部では高齢者人口の急増に対して介護施設の整備が追いつかず、特別養護老人ホームの入所待機者が数万人規模に上る地域もあります。在宅介護を希望しても訪問介護員の不足により十分なサービスを受けられないケースも増加しています。

介護サービスの地域間格差

介護人材の不足状況には地域間で大きな差があります。都市部では人口が多い分だけ高齢者数も多く介護需要が高い一方で、地方では若年層の流出により介護人材の確保がさらに困難な状況にあります。

また訪問介護においては移動距離の問題から効率的なサービス提供が難しい地域もあり、同じ介護保険料を支払っていても受けられるサービスに地域差が生じています。

介護離職という深刻な問題

介護サービスを十分に利用できない場合、その負担は家族にのしかかります。いわゆる「介護離職」は年間約10万人に上るとされ、働き盛りの世代が介護のために離職を余儀なくされるケースが後を絶ちません。

介護離職は本人の収入減少だけでなく、企業にとっても貴重な人材の流出であり、社会全体の生産性低下にもつながる深刻な問題です。

訪問介護の危機的状況|事業所の廃止が増加

訪問介護分野は介護人材不足の影響を最も深刻に受けている領域です。厚生労働省の調査によると、2024年3月に廃止した訪問介護事業所376事業所のうち、4割強が「人員不足・高齢化等」を廃止理由に挙げています。これは「利用者不足・経営不振等」(13.3パーセント)を大きく上回る数字です。

2024年6月から8月の3か月間だけでも、全国の訪問介護事業所のうち166件が休止、397件が廃止となりました。これは前年同期と比較して約1割の増加であり、事業継続の困難さが浮き彫りになっています。2024年4月時点での全国の訪問介護事業所数は35,468事業所ですが、その数は減少傾向にあります。

ヘルパー自身の高齢化という構造的問題

訪問介護における構造的な問題として、ヘルパー自身の高齢化があります。現在従事するヘルパーの4割近くが60代以上となっており、ヘルパーとして働く人の4人に1人が65歳以上、75歳以上も1割以上を占めています。

この数年で引退するヘルパーの増加が予想されており、人材不足は今後さらに進行すると懸念されています。新規参入者の確保が追いつかない中で現役ヘルパーの高齢化が進むという二重の課題を抱えているのです。

2024年度介護報酬改定の影響

2024年4月の介護報酬改定では訪問介護の基本報酬が約2パーセント以上引き下げられました。この改定により多くの小規模事業所が経営困難に陥っています。

訪問介護事業が「赤字」に転落した事業所も発生しており、直行直帰型ヘルパーを中心に人材確保がさらに困難になっています。人材紹介会社手数料などのコスト増も事業者の経営を圧迫する要因となっています。

中山間地域や離島等がある自治体では訪問介護サービスの提供に関して特に深刻な課題が報告されており、訪問介護事業所数が十分でないと回答した自治体が39.3パーセントに上ります。

政府の対策と取り組み|処遇改善と環境整備

国は介護人材確保のため処遇改善を重点的に進めています。2024年度に「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され、介護職員等処遇改善加算として要件の再編・統合が行われました。

2024年に2.5パーセント、2025年に2.0パーセントのベースアップにつながるよう加算率の引き上げが実施されています。また「介護人材確保・職場環境改善等に向けた総合対策」として806億円の補正予算が計上されました。

労働環境の改善支援

介護職員の負担軽減と職場環境の改善も重要な施策です。有給休暇取得の促進、夜勤体制の見直し、腰痛予防対策の推進、メンタルヘルスケアの充実など、多面的な取り組みが進められています。

また介護職員のキャリアパスを明確にし、専門性を高めながらステップアップできる仕組みづくりも進んでいます。介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得支援、研修制度の充実がその例です。

多様な人材の参入促進

介護人材の裾野を広げるため、多様な人材の参入促進が図られています。子育てを終えた女性の再就職支援、定年退職者のセカンドキャリアとしての介護職への誘導、障害者雇用の促進など、様々な層からの人材確保が試みられています。

また介護の仕事の魅力発信や学生向けの職場体験、介護職のイメージアップキャンペーンなど、将来の人材確保に向けた広報活動も展開されています。

外国人介護人材の受け入れ|4つの制度と今後の展望

外国人介護人材の受け入れには現在4つの制度が存在します。EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の各制度であり、それぞれ目的や要件が異なっています。

令和4年度の調査によると、外国籍の労働者を受け入れている介護事業所は約1割でした。受け入れ方法別では技能実習生が4.4パーセント、特定技能1号が3.5パーセント、在留資格「介護」が2.6パーセント、EPAは0.7パーセントとなっています。

各制度の特徴と受け入れ状況

EPAは日本語能力や介護知識の要件が厳しいことから、受け入れ数は限定的です。インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国との協定に基づき、介護福祉士候補者として受け入れる制度となっています。

技能実習制度は日本の介護技術を外国人に伝え、母国での活用を期待する制度です。技能実習期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して日本で永続的に働くことも可能です。なお技能実習制度については育成就労制度に見直す法案が2024年6月14日に成立し、原則3年以内の施行が予定されています。

特定技能制度は人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度です。厚生労働省では介護分野における特定技能外国人の受け入れについて、2024年度からの5年間で最大13万5,000人を見込んでおり、これを2028年度末までの受け入れ上限として運用することとしています。

在留資格「介護」は日本の介護福祉士養成校を卒業し介護福祉士を取得した外国人留学生が対象で、家族の帯同も可能であり在留期間の制限なく更新が可能です。2020年4月からは実務経験を経て介護福祉士を取得した方も対象に含まれるようになりました。

2025年4月からの訪問介護への従事解禁

厚生労働省の統計では、2023年時点で介護分野で働く外国人の在留者数は約4万人となっています。今後も増加が見込まれており、外国人介護人材は日本の介護現場を支える重要な存在となりつつあります。

2024年の新たな動きとして、政府は2025年4月から特定技能・技能実習の外国人が訪問介護に従事できるよう制度改正を行いました。2024年3月11日にこの方針が閣議決定され、介護現場の人手不足解消に向けた大きな一歩となっています。

外国人材受け入れの課題

外国人介護人材の増加は人手不足を補うだけでなく、多様性のある職場環境の創出や国際的な視点の導入など、介護サービスの質の向上にも寄与する可能性があります。

しかし言語や文化の違いによる課題も存在します。日本語でのコミュニケーション能力、日本の介護文化や習慣への適応、利用者や家族との関係構築など克服すべき課題は多いです。政府は外国人介護人材の確保のため、介護の日本語WEBコンテンツの開発・運用や介護福祉士国家試験対策向けの講座の開催等を実施しています。

介護テクノロジーの活用|ICT・ロボット導入の重要性

人材不足を補い介護サービスの質を維持・向上させるため、ICTやロボットなどのテクノロジー活用が急速に進んでいます。2040年度には約57万人もの介護人材が不足するという推計を踏まえ、もはやテクノロジーの活用なしには介護が必要な高齢者を支えることはできないという認識が広がっています。

経済産業省と厚生労働省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を7年ぶりに改訂し、名称も「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更しました。

重点分野の拡大と2つの系統

2025年4月より「機能訓練支援」「食事・栄養管理支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」の3分野3項目が追加され、重点分野は「9分野16項目」に拡大されます。

テクノロジーは「ICT系」と「ロボット系」の2系統に整理されています。ICT系は介護記録のペーパーレス化、通所サービスの送迎ルート作成、シフト最適化など、データをクラウドに集約しAIで最適解を導き出すDXの実現を目指しています。ロボット系は介護現場での職員の身体負担軽減を図りながら、利用者の自立支援を促進する目的で活用されます。

2024年介護報酬改定での対応

2024年の介護報酬改定では見守り機器などのテクノロジーの導入を要件とする「生産性向上推進体制加算」が新設されました。介護記録のICT化や介護ロボットの導入で業務効率化を進める事業者を支援する仕組みです。

補助金制度も拡充されており、2024年度の厚生労働省予算案では「介護テクノロジー導入支援事業」として、介護ソフト、タブレット端末、スマートフォン、インカム、クラウドサービス、Wi-Fi機器、バックオフィスソフトなど多くのICT機器・ソフトウェアが補助対象となっています。さらにICTリテラシー習得に必要な経費も補助対象に加わりました。

介護現場でのテクノロジー導入については「いきなりロボットを入れる」のではなく、まず施設の課題を分析し何が問題になっているのかを明確にした上で導入を検討することが重要とされています。

フレイル予防と介護予防の重要性|介護需要を抑制する視点

フレイルとは加齢に伴う心身の虚弱状態を指す概念です。年をとって体や心のはたらき、社会的なつながりが弱くなった状態であり、健康な状態と要介護状態の中間に位置する段階といえます。

暮らしの中で身体を動かす機会が減少したり低栄養状態が続くことでフレイルのリスクが高まります。重要なのはフレイルの兆候に早く気付き日常生活を見直すことで、進行を遅らせたり健康な状態を取り戻すことができるという点です。フレイルは介入可能な病態であり、可逆性があることが特徴です。

フレイル予防の4つの柱

フレイル予防のためには「運動で筋力づくり」「低栄養予防」「お口と歯の健康」「外出と交流」の4つの柱が重要とされています。これらはお互いに関係し合っており、どこかでバランスが崩れるとフレイルの状態が進みやすくなります。

特に注目すべきは栄養と運動だけでなく、社会参加もフレイル予防の重要な要素であることがエビデンスに基づいて明らかになっている点です。高齢者が社会とのつながりを保ち、外出や交流の機会を持つことがフレイル予防において極めて重要なのです。

介護予防が人材不足対策に果たす役割

介護人材不足への対応として、介護を必要とする高齢者を減らす「介護予防」の視点は極めて重要です。要介護状態になる前の段階でフレイルを発見し適切な介入を行うことで、介護サービスへの需要を抑制することができます。

国は2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定し、2040年までに男女ともに健康寿命の3年以上延伸を掲げました。その中で具体的な取り組みの柱の一つとして「介護予防・フレイル対策、認知症予防」が位置づけられ、「通いの場」のさらなる拡充の数値目標も提示されています。

介護予防は高齢者本人のQOL(生活の質)向上にもつながります。健康な状態をできるだけ長く維持し自立した生活を送ることは、多くの高齢者が望むことです。介護人材不足対策としてだけでなく、高齢者の幸福という観点からも介護予防・フレイル予防の推進は重要な政策課題といえます。

2040年問題への展望|持続可能な介護システムの構築

2025年問題の先にはさらに深刻な「2040年問題」が控えています。2040年問題とは1971年から1974年生まれの団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者になることで生じる問題です。

2040年には高齢者人口がピークに達し、労働力不足がさらに加速するだけでなく、社会保障費の増大、医療・介護人材の不足、経済の縮小がより深刻になるとされています。

多面的なアプローチの必要性

2040年を見据え持続可能な介護システムの構築が急務となっています。そのためには介護人材の確保・定着、外国人材の活用、テクノロジーの導入に加え、地域包括ケアシステムの深化、介護予防の推進、健康寿命の延伸など、多面的なアプローチが必要です。

また介護を「社会全体で支える」という意識の醸成も重要です。家族だけに介護を押し付けるのではなく、地域、企業、行政が連携して高齢者の生活を支える仕組みづくりが求められています。

2025年問題における介護人材不足の深刻化は、少子高齢化という日本社会の構造的な問題が介護という具体的な場面で顕在化したものといえます。団塊の世代の後期高齢者化による介護需要の急増、生産年齢人口の減少による労働力供給の制約、介護職の賃金や労働環境の問題など、複合的な要因が絡み合って人材不足を深刻化させています。

しかし悲観的になるばかりではありません。離職率の低下に見られるように職場環境の改善や処遇改善の取り組みは着実に成果を上げています。外国人材の受け入れ拡大やテクノロジーの活用も人材不足を補う有効な手段となりつつあります。重要なのはこれらの対策を個別に進めるのではなく、総合的・計画的に推進することです。介護は誰もがいつかは関わる可能性のある問題であり、社会全体でこの課題に向き合うことが求められています。

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