写真の目はなぜ赤くなる?赤目現象の仕組みとフラッシュでの防止法

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写真の瞳が赤く写るのは、暗い場所で大きく開いた瞳孔にフラッシュの光が入り、眼の奥にある血管で反射してレンズへ戻るためです。赤い色の正体は、撮られた人自身の眼の奥を流れる血液の色です。子供や瞳の色が薄い人には特に出やすく、コンパクトカメラやスマートフォンのようにフラッシュとレンズが近い機種ほど目立ちます。

暗いレストランでの乾杯や、夜の集合写真で、全員の目だけが赤く光っていて驚いたことはないでしょうか。せっかくの記念写真が、ちょっと怖い一枚になってしまいます。この記事では、赤く写る仕組み、瞳孔がフラッシュに間に合わない理由、起こりやすい人の特徴、犬や猫の目が緑や青に光る理由を説明します。そのうえで、撮影時に赤目を防ぐ方法と、撮ってしまった後の直し方を順に見ていきます。最後に、目が白く光って写ったときの注意点にも触れます。

目次

瞳が赤く写るのは、眼の奥の血管が光を反射しているから

赤目現象とは、暗い場所でフラッシュを使って撮影したときに、被写体の瞳が赤く写ってしまう現象のことです。英語ではred-eye effectと呼びます。人の場合は赤く写りますが、動物では緑や黄色、青に光って写ることもあります。この違いは後の見出しで説明します。

開いた瞳孔から入った光が、眼の奥で跳ね返るまで

赤目現象は、次の順番で起こります。

まず、暗い場所では、目は瞳孔を大きく開いています。できるだけ多くの光を取り込むためで、夜の室内やレストランでは瞳孔が広がった状態になっています。ここへフラッシュが光ります。フラッシュはごく短い時間で一瞬に発光するため、虹彩が瞳孔を絞ろうとする反応が間に合いません。瞳孔は開いたまま、強い光を受けます。

大きく開いた瞳孔から入った光は、眼球の奥の壁に届きます。光の多くは網膜を通り抜け、その奥にある脈絡膜で反射して返ってきます。網膜や脈絡膜には、毛細血管が豊富に走っています。フラッシュに照らされたこれらの血管の色が、反射光としてカメラのレンズに戻り、瞳が赤く写ります。

赤い色は、脈絡膜の血液の色

写真に写った赤は、絵の具のような着色ではありません。眼の奥にある脈絡膜の血管で、血液が反射した光の色です。自分の眼の奥の様子が、フラッシュの一瞬で写真に転写されたと考えると分かりやすいでしょう。赤目現象は、私たちの目の奥に血管が豊富にあることを見せてくれる現象でもあります。

フラッシュで赤目が出やすいのは、光が一瞬で、しかもレンズが近いから

フラッシュ撮影で赤目が目立つのは、次の条件が重なるためです。周囲が暗くて瞳孔が大きく開いていること。フラッシュの光が強く、しかも瞬間的なので瞳孔が閉じる時間がないこと。フラッシュとレンズの位置が近く、眼の奥で反射した光がそのままレンズに戻ること。この3つが揃うと、瞳が真っ赤に写ります。

瞳孔の反応は1秒弱遅れる

瞳孔の大きさは、光の強さに応じて変わります。この反射を対光反射といいます。対光反射は、網膜に届く光の量を調節するための仕組みで、強い光を受けると瞳孔は小さくなり(縮瞳)、弱い光のもとでは大きくなります(散瞳)。明るい場所では縮瞳し、暗い場所では散瞳するのが正常な状態です。

ポイントは、この反射に時間がかかることです。眼に光が当たると、瞳孔は1秒弱遅れて縮み始めます。正常な対光反射の反応速度は、収縮でおよそ1秒、拡張でおよそ5秒です。縮むのは比較的ゆっくりで、元の大きさに戻るにはさらに時間がかかります。

一方で、カメラのフラッシュは光り終わるまでがごく短い時間です。暗い場所で開いた瞳孔にフラッシュが光っても、瞳孔が縮み始める頃には、発光はもう終わっています。だから瞳孔が開いたまま、光が眼の奥まで届いてしまいます。

この時間差を知ると、赤目軽減モードのプリ発光の意味も見えてきます。プリ発光は、本番の発光より少し前から弱い光を数回当てて、瞳孔が縮む時間を稼いでいます。瞳孔が1秒弱遅れて縮むなら、遅れる分を先に使ってしまおうという発想です。プリ発光から本番までにタイムラグがあるのは、そのためです。

コンパクトカメラとスマートフォンで目立つ理由

もう1つの条件が、フラッシュとレンズの距離です。コンパクトカメラやスマートフォンでは、フラッシュとレンズが数センチしか離れていません。この距離だと、眼の奥で反射した光が、そのままレンズへ戻ってきます。フラッシュの位置をレンズから離すと赤目が減る、という後述の対策は、この距離の近さを崩すためのものです。

赤目が出やすいのは子供と、瞳の色が薄い人

赤目は誰にでも起こり得ます。そのうえで、特に出やすい人がいます。

子供は暗いところで瞳孔を大きく開いている

子供は、瞳孔の収縮や拡大が大人より極端です。暗いところでは瞳孔をかなり大きく開いていることが多く、そこへフラッシュが当たると、眼の奥まで届く光の量が増えます。家族写真や行事の写真で、子供の目だけが赤くなりやすいのはそのためです。

瞳の色が薄い人はメラニン色素が少ない

虹彩の色が青や灰色など薄い人は、メラニン色素が少ないため、網膜まで届く光の量が多くなります。欧米人のほうが赤目になりやすい傾向があるのは、この違いによります。反対に、日本人はメラニン色素が多く、茶褐色の瞳が多いので、比較的赤目になりにくい傾向があります。

年齢も関係します。加齢とともにメラニン色素は減り、目の色は徐々に薄くなっていきます。

起こりやすい人理由
子供瞳孔の収縮と拡大が大人より極端で、暗所では大きく開いていることが多い
虹彩の色が薄い人メラニン色素が少なく、網膜に届く光の量が多い

犬や猫の目が緑や青に光るのは、タペタムが光を反射するから

犬や猫をフラッシュで撮ると、目が緑や黄色、青白く光って写ることがあります。アイグロウと呼ばれる現象で、人の赤目現象とは仕組みが少し違います。

タペタムは網膜の下にある反射板

動物の網膜の下には、タペタム(輝板)という光を反射する層があります。タペタムは反射板の役割をして、網膜をいったん通り抜けた光をもう一度反射し、網膜に戻します。暗い場所でも、わずかな光を有効に使って物を見るための構造です。

フラッシュの光がタペタムで反射されると、その光の一部が瞳の外に出てきて、目が光って見えます。色は動物の種類やタペタムの構造によって、緑、黄、青などさまざまです。

犬や猫でも赤く写ることがある

赤く写る場合は、タペタムではなく、網膜の後ろにある毛細血管が反射しています。タペタムがあるのは網膜全体の半分くらいの面積です。タペタムのない場所に光が当たると、犬や猫でも人と同じように赤目のように写ります。ペットの写真で目が赤いときは、光が当たった位置がたまたまタペタムのない部分だったということです。

赤目を防ぐ方法は、瞳孔を絞ることと、光をレンズに戻さないことの2本立て

赤目を防ぐ考え方は、突き詰めれば2つに絞れます。瞳孔を小さくして、眼の奥に入る光を減らすこと。眼の奥で反射した光が、レンズに戻らないようにすること。以下の方法は、どちらかの働きをしています。

赤目軽減のプリ発光は、瞳孔を絞る時間を稼ぐ機能

多くのカメラには、赤目軽減というモードがあります。本番のフラッシュの前に、弱い光を何度か先に光らせて(プリ発光)、被写体の目を光で刺激し、瞳孔を閉じさせる仕組みです。瞳孔が小さくなれば眼の奥に入る光が減るので、赤い反射を抑えられます。カメラやスピードライトによっては、発光の前に赤目軽減ランプが点灯するものもあり、考え方はプリ発光と同じです。

プリ発光が1回ではなく数回光るのは、プリ発光の最中にまばたきをして目を閉じてしまうと、赤目軽減の効果が失われるからです。

このモードには弱点があります。プリ発光から本番のフラッシュまでに、少しタイムラグがあります。撮られる側が「もう撮れた」と思って動いたり、視線を外したり、表情を崩したりしがちです。撮影前に「もう一度光ります」と声をかけておくと、失敗が減ります。

フラッシュをレンズから離す目安は、撮影距離の20分の1

外付けフラッシュを使って、光が斜めから目に入るようにすると、眼の奥で反射した光がレンズに戻りにくくなります。目安は、フラッシュとカメラの距離が、被写体とカメラの距離の1/20以上です。

被写体までの距離レンズとフラッシュの距離の目安
2m10cm以上

内蔵フラッシュはレンズの近くにあるので、この距離は取れません。だからコンパクトカメラやスマートフォンは赤目が出やすいのです。

部屋を明るくすれば、フラッシュに頼らずに済む

周囲が明るければ、瞳孔は自然に小さくなります。照明をつける、明るい場所へ移動して撮るなど、フラッシュに頼らなくて済む環境を作るのが、最も手軽で確実な方法の1つです。暗さそのものが赤目の前提条件なので、そこを崩すのが一番早く済みます。

被写体の視線をカメラから少しずらしてもらう

眼の奥の反射光がレンズに戻ることで赤目になるので、被写体にレンズを正面から見ないでもらうのも手です。具体的には、撮影者の肩か胸のあたりに視線を向けてもらいます。フラッシュの光が正面から入らなくなるので、赤目が起きにくくなります。「カメラの少し下を見てください」と一言かけるだけで済みますが、視線が外れすぎると表情が不自然になるので、程よい位置を探してください。

バウンス撮影とディフューザーで、光を直接当てない

フラッシュを被写体に直接向けず、天井や壁に向けて光を反射させ、その反射光で被写体を照らす方法をバウンス撮影といいます。光が間接的になるので、影がやわらかくなり、自然な雰囲気の写真になります。外付けのストロボ(スピードライト)はヘッドの向きを変えられるものが多く、天井や壁に向けて発光させられます。内蔵フラッシュは基本的に被写体へ真っ直ぐ光を当てる直射になりますが、外付けストロボなら光を斜めから目に入れられるので、赤目も起きにくくなります。

ストロボにディフューザーを付けると、光が拡散してやわらかくなり、顔にできる影も減ります。天井が高すぎる場所や、天井に色がついていてバウンスに向かない場所でも使えます。バウンス撮影やディフューザーは、赤目対策だけでなく、直射のフラッシュに出がちな、のっぺりした写りや背後の濃い影を避ける役にも立ちます。

内蔵フラッシュだけで撮る場合の工夫

外付けストロボがなくても、次の工夫ができます。内蔵フラッシュでも、ディフューザーを付ければ赤目を防げます。内蔵ポップアップストロボ用のディフューザーが市販されていて、光が被写体に直接当たらなくなります。

夜景や夕景を背景にした人物撮影には、夜景人物モードが向いています。このモードでは、赤目軽減の発光に加えて、背景をきれいに写すために自動でシャッタースピードが遅くなります(スローシンクロ)。フラッシュで人物を照らしながら、背景も明るく写せるので、夜の観光地の記念撮影に合います。ただし、シャッタースピードが遅い分、手ブレしやすくなります。三脚を使うか、カメラを台の上に置いて固定してください。

撮ってしまった赤目は、Lightroom、Photoshop、iPhoneの写真アプリで直せる

赤目になった写真は、画像編集で補正できます。使えるツールを表にまとめます。

ツール補正の方法
Adobe Lightroom自動修正ボタンで、写真内のすべての赤目を自動検出して修正。手動なら、赤目アイコンを選び、目の中央から選択してドラッグし、瞳径と比較(暗)のコントロールを調整
Adobe Photoshopツールバーから赤目修正ツールを選び、瞳の大きさと暗くする量を設定
iPhoneとiPadの写真アプリ1回のタップで動作する赤目補正機能を内蔵

補正で守りたいのは、赤い部分を黒く塗りつぶさないことです。周囲の色合いや、瞳に映る光の点(ハイライト)を残して、瞳の質感と立体感を保つと、自然に仕上がります。真っ黒に塗りつぶした瞳は、赤目とは別の不気味さが出ます。

カメラ内の赤目補正なら、プリ発光を待たずに撮れる

最近のデジタルカメラには、撮影後にカメラ自体が赤目を自動で検出して補正する機能を備えたものがあります。フジフイルムのカメラのメニューにも、赤目補正という項目があります。この方式ならプリ発光が要らず、撮影者が狙ったタイミングでシャッターを切れます。プリ発光では、撮られる側が撮影済みと勘違いして表情を崩しやすいので、その点は利点です。

自動補正は、赤目の部分を正確に検出できないことがあります。大事な写真では、撮影時の対策と撮影後の補正を組み合わせておくと安心です。

赤ではなく白く光る瞳は、乳幼児の片目だけなら眼科に相談を

フラッシュ写真で、目が赤ではなく白く光って写ることがあります。白色瞳孔、または猫目現象と呼ばれます。多くは光の当たり方による一時的なもので、心配のいらないものです。ただし、乳幼児の写真で、いつも同じ片目だけが白く光る場合は、注意してください。

網膜芽細胞腫は、網膜に発生する悪性腫瘍で、乳幼児に多い病気です。出生した子供17,000人に1人の割合で発症します。瞳孔に入った光が腫瘍で反射して、猫の目のように白く輝いて見えるため、家族が気づいて受診するケースが多い病気です。フラッシュ写真で片目だけ白く見えることが、最初のサインになることがあります。

千葉大学は、動画で健常児が白色瞳孔を呈するメカニズムを世界で初めて報告しました。白く写ったからといって、必ず病気とは限りません。それでも、赤目とは違う写り方をしていて気になるなら、写真を持って眼科を受診し、相談してください。

赤目についてよくある疑問

赤目軽減モードを使ったのに赤く写るのはなぜか

プリ発光の最中にまばたきをしたり、視線を動かしたりすると、瞳孔を絞る効果が弱まります。撮られる側が最初の弱い発光で撮影が終わったと思い込むことも、原因の1つです。プリ発光が数回光るのは、まばたきの影響を減らすためですが、それでも完全には防げません。声かけに加えて、視線をずらす、部屋を明るくするといった対策を重ねてください。

日本人は赤目になりにくいのか

メラニン色素が多く、茶褐色の瞳が多い日本人は、瞳の色が薄い人と比べると、比較的赤目になりにくい傾向があります。それでも、子供は瞳孔を大きく開いていることが多いので、日本人の子供でも赤目は起こります。

スマートフォンでも赤目は起きるのか

起きます。スマートフォンはフラッシュとレンズが数センチしか離れていないので、眼の奥で反射した光がほぼ真っ直ぐレンズに戻ります。暗い場所で人物にフラッシュを向けるときは、同じ仕組みで赤目が出やすくなります。

内蔵フラッシュにもディフューザーは付けられるのか

付けられます。内蔵ポップアップストロボ用のディフューザーが市販されていて、取り付けると、フラッシュの光が被写体へ直接当たらなくなります。外付けストロボを買い足さなくても、手持ちのカメラで赤目対策を進められる方法の1つです。

部屋が暗いままでも、赤目を減らす方法はあるのか

あります。視線をカメラから少しずらしてもらう、フラッシュを斜めから当てる、バウンス撮影で光を間接的にする、といった方法は、部屋の明るさに関係なく試せます。夜景を背景にするなら、赤目軽減の発光とスローシンクロを併用する夜景人物モードも使えます。どれも、光がレンズへ戻る道筋を断つことが狙いです。

犬や猫の目が赤く写るのは、カメラの不具合なのか

赤く写ること自体は、カメラの不具合ではありません。タペタムのない部分に光が当たると、網膜の後ろの毛細血管が反射して、犬や猫でも赤く写ります。緑や黄、青に光るのも、タペタムが光を反射するためです。

赤目を防ぐ鍵は、瞳孔を絞ることと光をレンズに戻さないこと

赤目は、暗い場所で開いた瞳孔に、瞬間的なフラッシュが入り、眼の奥の血管で反射した光がレンズに戻るために起こります。瞳孔の反応は1秒弱遅れるので、フラッシュの一瞬には間に合いません。対策は、瞳孔を絞ること、光をレンズに戻さないことの2本立てです。

場面対策
撮影前部屋を明るくする、明るい場所へ移動する
撮影中赤目軽減モードを使う、フラッシュをレンズから離す(目安は撮影距離の1/20以上)、バウンス撮影やディフューザーで光を直接当てない、被写体の視線を少しずらす
撮影後Lightroomの自動修正、Photoshopの赤目修正ツール、iPhoneの写真アプリで補正する。黒く塗りつぶさず、瞳のハイライトを残す

犬や猫の目が緑や黄、青に光るのは、タペタムの反射による別の現象です。目が白く光って写ったときは、白色瞳孔の可能性があります。特に乳幼児で同じ片目ばかりが白く光る場合は、眼科に相談してください。仕組みを知っておけば、次にフラッシュで撮るときも、落ち着いて対策できます。

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