ミネラルウォーターの採水地表示の見方、名称欄の4分類で判断

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ミネラルウォーターのラベルに書かれている採水地とは、その水をくみ上げた場所のことです。多くの商品では都道府県名や山の名前とともに、ラベルの一括表示欄に記載されています。スーパーの飲料棚には国産の天然水から海外ブランドまでずらりと並んでいて、硬水と軟水の違いも成分表示を読まないと分かりません。この記事では、採水地の表示をどう読み解けば水の性質が見えてくるのか、成分表や処理方法の表示とあわせて具体的に整理します。

目次

採水地を含む9項目は農林水産省のガイドラインで表示が決まっている

ミネラルウォーター類のラベル表示は、農林水産省が1990年3月30日に定めた「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」にもとづいて運用されています。このガイドラインでは、容器や包装に一括して表示すべき項目が決められていて、ラベルの四角い枠で囲まれた一括表示欄を見れば、採水地を含む基本情報をまとめて確認できます。

表示項目内容
名称(品名)ナチュラルウォーターなど4分類のいずれか
原材料名原水の種類
内容量ボトル内の容量
賞味期限表示内容量を保証できる期間
保存方法直射日光を避けるなどの注意書き
採水地水をくみ上げた場所
使用上の注意開栓後の取り扱いなど
使用方法該当する場合のみ
製造者等製造者名と所在地

輸入されたミネラルウォーターの場合、この9項目に加えて原産国名の表示も義務づけられています。なお、ミネラルウォーター類は食品衛生法上では清涼飲料水に分類され、殺菌方法や検査項目に関する成分規格・製造基準は厚生労働省の管轄です。ラベル表示は農林水産省、安全性の基準は厚生労働省という二重の枠組みで運用されていることは、覚えておいて損はありません。

この二重の枠組みは、採水地欄の役割をはっきりさせてくれます。農林水産省のガイドラインが定める採水地の表示は、消費者がどの水源の水かを知るための情報提供が目的であって、水の安全性そのものを保証する項目ではないということです。安全性については、清涼飲料水としての成分規格や製造基準を満たしているかどうかが別途チェックされているため、採水地欄と製造者等の欄はそれぞれ異なる役割を担っていると理解しておくと、ラベル全体の見え方が整理しやすくなります。

採水地の地名だけでは湧水か地下水かまでは分からない

ラベルの採水地欄に「南アルプス」や「富士山」と書かれていても、その地名だけで採水方法まで判別することはできません。山中の湧水をそのままくみ上げているのか、地下深くの帯水層からボーリングでくみ上げているのか、伏流水を採取しているのかは、地名の表示からは読み取れないからです。採水方法まで詳しく知りたい場合は、メーカーの公式サイトに解説が載っていることが多いので、そちらを確認するのが確実です。

水源となる土地には、雨水や雪解け水が地下にしみ込んで蓄えられる機能があり、洪水の緩和や河川への流量調節という役割も果たしています。日本の水道水源の約75パーセントは河川水などの地表水で、残り約25パーセントが地下水や伏流水とされていますが、ミネラルウォーターの多くは地下水や湧水を原水としていて、通常の水道水とは採水の起点が異なります。採水地の表示は、この起点の違いを示す入り口だと考えると分かりやすくなります。

同じ採水地名を掲げる商品同士を比べるときも、ラベルの採水地欄の表記だけで判断せず、一括表示欄にある原材料名の表示もあわせて確認するのが確実です。原材料名の欄には原水の種別が示されているため、採水地の地名と原水の記載を突き合わせることで、その水がどんな成り立ちでボトルに入っているのかがより具体的に見えてきます。

名称欄の4分類でナチュラル度合いを見分ける

ラベルの名称欄あるいは品名欄を見ると、その水が原水の性質と処理方法によって4つのどのタイプに分類されるかが分かります。

分類原水と処理
ナチュラルウォーター特定の水源の地下水を原水とし、沈殿・濾過・加熱殺菌以外の処理を行わない
ナチュラルミネラルウォーター地層中の無機塩類が溶け込んだ地下水(鉱化された地下水)を原水とする
ミネラルウォーターナチュラルミネラルウォーターを原水に、複数水源の混合やミネラル分の調整、ばっ気などを行う
飲用水(ボトルドウォーター)上記3つに当てはまらないもの。水道水を原水とする場合などを含む

いわゆる天然水と呼ばれる商品の多くは、この中の「ナチュラルミネラルウォーター」に該当します。名称欄の4分類は、採水地の表示とセットで見ることで、単一の水源からそのまま採られた自然に近い水なのか、複数の水を調整してつくられた水なのかを判断する手がかりになります。「ナチュラル」という言葉が名称に含まれているかどうかは、原水への手の加わり方を見分ける目安のひとつです。

加熱殺菌と非加熱処理はラベルの記載で判断できる

ラベルや公式サイトの情報には、殺菌方法が加熱殺菌なのか非加熱処理なのかが書かれていることがよくあります。加熱処理は日本の多くのミネラルウォーターで採用されている方式で、85度で30分以上、あるいはそれと同等の熱量を加えて殺菌します。数ある殺菌方法の中でも効果が高く、品質管理がしやすくコストも比較的抑えられるという特徴があります。

一方の非加熱処理は、フィルターによるろ過などで殺菌・除菌を行う方法です。加熱をしないぶん水中の溶存酸素が保たれやすく、口当たりがまろやかに感じられやすい傾向があります。ただしフィルターの維持管理コストがかかり、加熱処理に比べて品質管理の難易度は高めです。ここで押さえておきたいのは、非加熱イコール殺菌していないという意味ではないという点です。加熱以外の方法で衛生的な処理を行っているという意味であり、ラベルに「非加熱」「低温処理」といった表示があれば、この処理方式が採られていると判断できます。

赤ちゃんのミルクには硬度100mg/L以下の軟水を選ぶ

赤ちゃんのミルク用に水を選ぶときに軟水が勧められる理由も、ラベルの硬度表示と関係しています。育児用の粉ミルクは、もともと日本の水道水で溶かすことを前提にミネラル分が調整されていて、日本の水道水はカルシウムやマグネシウムが少ない軟水にあたります。赤ちゃんは消化器官が未発達なので、多量のミネラルを分解・排泄する機能が十分に備わっていません。硬度の高い水でミルクを溶くと、腎臓への負担や消化不良を招く可能性があるとされています。

国産のミネラルウォーターは一部を除き硬度100mg/L以下のものが主流ですが、輸入品の中には硬度が非常に高い商品もあります。調乳に使う場合は、ラベルの成分表示と硬度表示を必ず確認し、軟水であることを確かめてから使うようにしたいところです。メーカーによっては調乳への適否を公式サイトで案内していることもあるので、迷ったら製造者情報とあわせて確認すると安心です。

硬度はカルシウムとマグネシウムの量から計算できる

ラベルの成分表には、カルシウムとマグネシウムの含有量から算出される硬度が記載されていることが多くあります。硬度は厚生労働省告示による次の式で求められます。

硬度[mg/L]=カルシウム量[mg/L]×2.497+マグネシウム量[mg/L]×4.118

たとえば、100mlあたりカルシウム0.64mg、マグネシウム0.22mgと表示されている場合、10倍して1リットル換算するとカルシウム6.4mg/L、マグネシウム2.2mg/Lになります。これを式に当てはめると、硬度は6.4×2.497+2.2×4.118で約25mg/Lとなり、軟水に分類される計算です。ラベルの数値さえ拾えれば、電卓ひとつでこの計算はできます。

硬度の目安(mg/L)分類
60未満軟水
60以上120未満中程度の軟水(中硬水)
120以上180未満硬水
180以上非常な硬水

これは国際的な目安で、日本国内では硬度100mg/L未満を軟水、100mg/L以上を硬水とする分類もよく使われていて、資料によって基準がやや異なる点には注意が必要です。日本で使われる「mg/L(ppm)」と、ヨーロッパの硬水表記に使われる「°dH(ドイツ硬度)」の間には、°dH=mg/L×0.056という換算関係があります。海外の輸入ミネラルウォーターのラベルに°dHで硬度が書かれている場合は、この換算を使うと日本の感覚に近い形で比較できます。

日本の天然水の多くは硬度30から100mg/L程度の軟水に分類され、口当たりがまろやかでクセが少ないのが特徴です。ヨーロッパ産のミネラルウォーターには硬度300mg/Lを超える硬水も多く、ミネラル分がしっかり感じられる、やや重めの飲み口になる傾向があります。

成分表示欄でカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムの量を比較する

ラベルの成分表には、カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウムという4種類のミネラル含有量が、100mlあたりまたは1リットルあたりで記載されているのが一般的です。カルシウムは人体で最も多いミネラルで、大部分は骨や歯を構成し、残りは筋肉や神経、体液中に存在して筋肉の収縮や神経伝達、血液凝固にも関わります。ナトリウムは体液を弱アルカリ性に保つ緩衝作用を持ち、体液が酸性に傾くのを防ぐ働きがあるので、塩分の摂取量が気になる場合はナトリウム含有量もあわせて確認しておきたいところです。

カリウムはナトリウムとともに体液の浸透圧を調整し、筋肉の収縮や神経の刺激伝達にも関わっていて、不足すると倦怠感やしびれなどにつながることがあるとされます。マグネシウムは多くの酵素の働きを助ける補酵素的な役割を持ち、神経や筋肉の興奮を抑えて正常化する働きも担っています。これらの数値は商品によって大きく異なるので、ミネラルをしっかり摂りたいのか、クセの少ない水を毎日飲みたいのかという目的に応じて、ラベルの数値を見比べて選ぶとよいでしょう。ミネラルが豊富な水を選びたい場合はカルシウムやマグネシウムの数値が高めのものを、まろやかな口当たりを重視する場合は硬度が低め、つまり軟水のものを目安にすると選びやすくなります。

pH表示は中性から弱アルカリ性の範囲に収まることが多い

一部の商品には、水の性質を示すpH値が記載されていることもあります。純水はpH7.0が中性とされ、これより数値が低ければ酸性、高ければアルカリ性の傾向を示します。多くの天然水はpH7前後、つまり中性から弱アルカリ性の範囲に収まることが多いのですが、水源によって差があるため、気になる場合はラベルやメーカーの公式情報で確認するのが確実です。

南アルプスの水は硬度30mg/L前後、富士山の水はバナジウムが特徴

採水地の表示は、水の味わいや成分の傾向を推測する手がかりにもなります。南アルプスで採水された水は、花こう岩層による自然のろ過作用を経ていて、硬度30mg/L前後のまろやかでスッキリした軟水になりやすいとされています。富士山の湧水は玄武岩層を通ってろ過されていて、ミネラルの一種であるバナジウムを多く含むことで知られています。阿蘇や六甲、奥大山、北アルプスといった採水地も、それぞれの地質や地層の違いによってミネラルバランスや口当たりに個性が出ます。

国内大手飲料メーカーの天然水ブランドは、これら複数の採水地から採水した商品をラインナップしていることが多く、パッケージに書かれた採水地名を見れば、その地域特有の水質傾向をある程度推測できます。ただし、同じ採水地名でも商品によって処理方法や設計が異なる場合があるので、最終的には成分表示欄の数値もあわせて確認するのが確実です。

賞味期限の長さは水質でなく容器の水分蒸発を基準に設定されている

ラベルには賞味期限と保存方法も記載されています。ミネラルウォーターは腐敗しにくい飲料ですが、賞味期限はペットボトル容器を通した水分の蒸発によって内容量が表示より減ってしまうことを考慮して設定されているのが一般的です。つまり、賞味期限が1から2年程度と長めに設定されているのは、水そのものが劣化するからというより、容器の特性上、表示内容量を保証できる期間という意味合いが強いということになります。保存方法欄には、直射日光を避けて保存する、高温多湿を避けるといった注意書きが記載されていることが多いので、備蓄用に購入する場合は保存場所にも気を配りたいところです。

輸入ミネラルウォーターは原産国名表示と高めの硬度に注意する

海外ブランドのミネラルウォーターを購入する場合も、国産品と同じく、原則として日本語で品質表示ガイドラインに沿った情報が輸入者によって表示されています。名称・原材料名・内容量・賞味期限・保存方法・採水地・製造者等に加えて、原産国名の表示も確認できます。

輸入品は原産国での採水地や水質の基準が日本と異なる場合があるため、硬度が非常に高い硬水の商品も多く見られます。日本の水に慣れている場合は、まず成分表示の硬度を確認して普段飲んでいる水との違いを把握しておくと、味の違いに戸惑いにくくなります。

災害備蓄用は賞味期限5年から15年の保存水を選ぶ

ラベルの見方は、日常の飲用だけでなく災害時の備蓄水を選ぶ際にも役立ちます。一般的なミネラルウォーターの賞味期限が2年程度であるのに対し、保存水や長期保存水と呼ばれる商品は、5年・10年・15年といった長期の賞味期限が設定されています。これは中身の水質だけでなく、ボトルの厚みを通常品より厚くすることで、容器を通した水分蒸発や品質劣化を抑える設計になっているためです。目安として、5年保存で厚さ約0.25mm、10年保存で約0.28mm、15年保存で約0.48mm程度とされていて、ラベルの賞味期限表示を見れば、その商品が日常消費向けなのか長期保存を前提にした備蓄用なのかが一目で分かります。

製造方法としては、超高温瞬間殺菌を行ったあと高温の状態でボトルに充填することで密閉性と衛生性を高め、保存料などの薬剤を使わずに長期保存を実現している商品が多く見られます。災害時に必要な飲料水は1人1日あたり3リットル、3日分で9リットルが目安とされています。最低限必要な分は賞味期限の長い保存水で確保し、それに上乗せする分は普段飲んでいる市販のミネラルウォーターを活用して消費しながら入れ替えていくローリングストックという方法を組み合わせると、コストを抑えながら備蓄を続けやすくなります。

備蓄水にも軟水と硬水があり、成分表示と硬度表示は通常のミネラルウォーターと同じ形で確認できます。軟水はミネラル成分が少なくクセがないため子どもや高齢者、赤ちゃんのミルク用にも使いやすく、硬水はミネラル成分をしっかり摂りたい場合に向いています。備蓄用に購入する際も、採水地欄と成分表示欄を見比べて、家庭の用途に合った硬度の水を選ぶとよいでしょう。

ラベルを見る順番は名称、採水地、成分、処理方法、賞味期限の順が実用的

ここまでの内容を踏まえると、店頭やネット通販でミネラルウォーターを選ぶ際にラベルを確認する順番が見えてきます。まず名称欄でナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、飲用水のどれに分類されるかを確認します。次に採水地欄でどの地域・水源からの水かを確認し、気になれば公式サイトで採水方法の詳細も見ておきます。続けて成分表示欄でカルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウムの量と硬度を確認し、軟水か硬水かを把握します。

加熱処理か非加熱処理かの記載があれば、好みの口当たりや用途に合うかを判断する材料にします。内容量・賞味期限・保存方法を見て、保管環境や飲みきれる量かどうかも考えます。輸入品の場合は原産国名も確認し、硬度が高めになりやすいことを踏まえておくと安心です。この順番で見ていけば、パッケージのデザインや価格だけで選ぶよりも、自分の目的に合った一本にたどり着きやすくなります。

ミネラルウォーターのラベルは、農林水産省の品質表示ガイドラインにもとづいて、採水地・名称区分・成分・処理方法・保存方法といった情報が一括表示欄にまとめられたものです。採水地の地名だけでは水の詳しい性質までは読み取れませんが、名称欄の4分類、成分表示欄の硬度やミネラル量、加熱・非加熱の別とあわせて見ることで、その水の個性や自分の目的への適性をかなり具体的に判断できるようになります。毎日の飲用にはクセの少ない軟水、料理や出汁づくりにも軟水、パンチのある味わいを楽しみたいときには硬水、赤ちゃんのミルク用には軟水かつメーカーが調乳に適すとしている商品というように、目的に応じてラベルを読み解きながら選べば、数あるミネラルウォーターの中から自分に合った一本を見つけやすくなります。次に飲料棚の前に立ったときは、ボトルの側面や背面にある一括表示欄に目を通してみてください。

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